自分の好きな音楽を聴くとテンションが上がったり、気分が変わるのはのはどうしてなんだろう?
確かに!僕は筋トレする時、洋楽のEDMをガンガンかけるよ!
面白いトピックですね!音楽とメンタルヘルスについての興味深い論文を見つけたので、紹介しますね🎵
→「Biological principles for music and mental health」
音楽の力と歴史
音楽は古代から存在しています。約4万年前の石器時代のフルートがその証拠です。
歴史を通じて、音楽の力は神話や数学などで説明されてきましたが、19世紀に音楽が人間の進化と関連して考えられるようになりました。
ダーウィンは、動物の声と人間の発声の類似性から、音楽が性的選択や社会的行動に基づくと提唱しました。
音楽は主に感情を伝え、仲間を引き寄せ、ライバルを威嚇する役割を果たしていたと考えられています。この考えは、音楽が社会的コミュニケーションの一形態であり、言語と共通の起源を持つという現代の生物音楽学にも影響を与えています。生物音楽学では音楽そのものではなく、「音楽性」に焦点を当て、音楽の進化的圧力や社会的コミュニケーションを支える神経能力の発達に注目しています。
音楽性の4要素
最近では、音楽がメンタルヘルスやウェルネスに与える効果が注目されています。
心理学、神経科学、精神医学の研究を統合し、音楽の神経生理学的な効果を説明する枠組みが提案されています。
枠組みには、人間の音楽性の4つの要素が含まれています。
適切な音調は、音の感覚と声の感情表現に基づき、気分や不安の調整に役立ちます。
音楽療法では、声のトーンを模した音楽を用いることで、患者の感情に影響を与えることが可能です。例えば、不安を和らげるためには、低周波で落ち着いた声に似た音調が効果的であり、抑うつには上昇する音調が有効とされています。
リズムは、気分や意欲に関連する可能性があります。
民族学的文献から得られた報告として、リズミカルな音楽は、ネガティブで疲労を伴う作業(例えば、食料の収穫、軍事訓練、荷物の移動など)の 経験をポジティブに変化させるためにしばしば使用されてきました。
同様に、音楽家は一般的に「ノリにノッている」ことを心地よい集中状態として経験し、長時間のハイレベルな演奏(ツアーなど)に伴う負担を相殺することができます。このような効果から、リズミカルな音楽は大脳皮質ー大脳基底核ループ(大脳皮質と大脳基底核が連携して運動や感覚、認知、情動、動機づけ、報酬学習などの脳高次機能を担う回路)の関与の増加を反映している可能性があります。音楽は楽しみを増大させ、自覚的な労働を減少させる効果が期待できます。
音楽は脳の報酬系を刺激し、ポジティブな感情を生み出すことで、気分を改善する可能性があります。
過去数十年にわたり、神経画像研究では、音楽で喜びを感じることが、腹側被蓋野(VTA)と側坐核(NAc)を結ぶ中脳辺縁系ドーパミン経路を含む、古典的な脳の報酬回路の活動と密接に関連していることを実証してきました。
音楽は社会的つながり・機能を改善する効果もあります。誰かと一緒に歌ったり踊ったりすると親密感や仲間意識が芽生えますよね。こうした作用もポジティブな感情に影響している可能性があります。
まとめ
音楽は古代から人間の歴史と共に発展してきました。
最近では音楽の神経生理学的な研究も進んでおり、主に4つの要素が音楽とメンタルヘルスに関連があるとする報告があります。音楽のメンタルへの影響として、何か1つの要因があるというよりも、4要素のように複合的な要因が考えられます。
・音調
・リズム
・報酬系回路
・社会性
の4つですね!!
自分の気分に合った音調やリズムの音楽を選ぶとよりその効果を感じられるかもしれませんね。
参考文献
1)Daniel L,Translational psychiatry,13, Article number: 374 (2023) ,Biological principles for music and mental health:https://www.nature.com/articles/s41398-023-02671-4#Sec8
2)一般財団法人日本予防医学協会HPより「音楽の力を味方に」:https://www.jpm1960.org/kawara/web202303_make-the-power-of-music-your-ally.html
3)大黒達也,日本神経回路学会誌,vol.29,No3,2022,135-147,音楽と脳:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnns/29/3/29_135/_pdf
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