最近すごい疲れるし、なんか気分も落ち込むし、もしかして更年期かしら
更年期は色々な症状を認めることがあります。今回は、更年期について深掘りしていきましょう!
更年期とは
閉経(1年以上月経が来ない)前後5年の合計10年間のことです
この時期はエストロゲンが大きく変動しながら徐々に低下し、様々な症状が出現することがあります。更年期障害に明確な診断基準はありませんが、症状とその発現時期を確認し、症状が日常生活にも支障をきたす場合は更年期障害と診断されます。
・血管運動神経症状:ホットフラッシュ、発汗など
・身体症状:易疲労感、めまい、動機、頭痛、肩こり、関節痛など
・精神症状:不眠、イライラ、不安、抑うつ気分など
原因
更年期障害の主な原因はエストロゲンの低下ですが、その他にもいくつかの因子が絡んでいます。
- ・生理学的因子
-
卵巣機能の低下、加齢に伴う身体的変化
- ・心理社会的因子
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環境が変わりやすいライフステージ(子の独立、職場の昇進、親の介護、喪失体験など) 老後への不安、身体的な衰えの自覚など
治療
まずは食事や運動を中心とした生活習慣の改善や認知行動療法などの心理療法やカウンセリングを行い、それでも効果がない場合は薬物治療を行うことが多いです!薬物治療について詳しくみていきましょう!
ホルモン補充療法
不足しているエストロゲンを外から補う治療法です!
エストロゲン単独では子宮内増殖症のリスクが上がるためプロゲステロン(黄体ホルモン)を併用します。ホルモン剤には飲み薬、貼り薬、塗り薬なといくつかの種類があります。(1,6)
漢方薬
はじめから薬を使うのはちょっと抵抗があるかも、、、
そんな方には、漢方薬がお勧めです!婦人科でよく使われる三大漢方薬があるのでご紹介しますね!
- ・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
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体力虚弱で、貧血、冷え性、立ちくらみなどの症状(8)
- ・加味逍遥散(かみしょうようさん)
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体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神症状(9)
- ・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
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比較的体力がある、のぼせ傾向にあり、下腹部の痛みがある方に(10)
私は疲れやすいからか加味逍遙散かしら
精神科薬
メンタルの症状が辛い方は、抗うつ薬などの薬も選択肢になります。
抑うつ、イライラ、不安、不眠など精神的な症状が辛い場合は抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI))、抗不安薬、睡眠薬などが有効である場合があります。
更年期とメンタルヘルス Q & A
更年期のメンタル症状についてQ & A形式でお答えします!
- 「更年期うつ」と「うつ病」は違う?
-
「更年期うつ病」は正式な診断名としては認められていません。更年期に発症したうつ病であっても、診断基準は一般的なうつ病と同じです。この基準を満たす場合は「うつ病」と診断され抗うつ薬などの薬物療法、精神療法を用いて治療を行っていきます。「うつ病」の基準を満たさない場合は、更年期障害のうつ症状ということになり、更年期障害の治療を行います。
- 更年期でメンタルの症状に悩んでいる。どうすればいい?
-
日常生活に支障が出ている(家事ができない、仕事に集中できないなど、これまで通りの日常生活が送れていない)場合は、婦人科や精神科、心療内科を受診してみることをお勧めします。更年期はうつ病の好発年齢もあり、更年期の症状ではなくうつ病などの病気の可能性もあります。また更年期障害であった場合も、エビデンスのある治療法があるので、一人で抱え込まずに専門家に相談してみてください!
外に出るのが難しい場合や、受診に抵抗がある方は、オンライン診療もお勧めです。
気軽に相談できるオンライン診療。どこでもすぐに受けられる!新しい医療の形。 誰しも、日々生活していると、落ち込んだり、イライラしたり、眠れなくなったりと体と同じように心の状態も波があると思います。 はたまた、パニック発作のように、これ…今の所、日常生活に支障までは出でいないけれど、少し困っているという方は、まずは生活習慣の見直しをしてみましょう!十分な睡眠、バランスの取れた食事、ウォーキングやヨガなど適度な運動は、即効性はないかもしれませんが、意識をすれば変えられるところもあるので、試してみてください。
マイハブ先生SMIスコア(簡略更年期指数)も参考にしてみてください!
まとめ
- 更年期は閉経前後5年間
- 更年期障害はエストロゲンの減少が主な原因で、その他、心理社会的な因子も関係している
- ホットフラッシュ、発汗、動悸、不眠、イライラ、疲労感など色々な症状がある
- 治療は生活習慣の改善、心理療法、薬物療法(ホルモン補充、漢方薬、精神科薬)がある
- 症状で困っていたら婦人科、精神科、心療内科を受診しよう
どう対処したらいいか悩んでいたけど、婦人科行ってみようかな
適切な治療を行うことで、症状の改善も期待できます!
参考文献
(1)公益社団法人 日本産婦人科学会:https://www.jsog.or.jp/citizen/5717/
(2)https://www.jaog.or.jp/qa/menopause/jyosei200304/
(3)高橋彩子 et al.,昭和学士会誌第77巻第4号(379-384,2017)更年期障害と更年期に好発する精神疾患:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshowaunivsoc/77/4/77_379/_pdf/-char/ja
(4)仙波純一,JGHP vol30,No3,女性のライフサイクルと精神疾患ー薬物療法の視点からー:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjghp/30/3/30_194/_pdf/-char/ja
(5)厚生労働省,働く女性の心とからだの応援サイト,女性のうつ:https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/depression.html
(6)一般社団法人 日本女性医学学会,ホルモン補充療法の正しい理解を進めるために:https://www.jmwh.jp/pdf/hrt_guide_book.pdf
(7)厚生労働省,更年期症状・障害に関する意識調査:https://www.mhlw.go.jp/content/000969136.pdf
(8)当帰芍薬散ツムラ:https://www.tsumura.co.jp/brand/products/kampo/023.html
(9)加味逍遥散ツムラ:https://www.tsumura.co.jp/brand/products/kampo/024.html
(10)桂枝茯苓丸ツムラ:https://www.tsumura.co.jp/brand/products/kampo/025-a.html
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